トレンド・・・

時代、時代でサーフィンもその様相を変えていく。
ツール、ファッション、思考、嗜好、
瞬く間にその様相は変化する。
「これからどうなる日本のサーフィン?」
おれがそんなこと考えたってどうにもならんけど・・・

サーフボード、
ここにはさほど大きな変化は見られない。
1980年代初頭、
かのサイモンアンダーソンが世に発表したスタスター。
自らこれを駆りpipelineを制しbellsに勝利し、
その性能を世界に広めた逸品。
いまだそれを凌駕するモデルの存在は皆無で、
マイナーチェンジが施される程度。
quad fin等の登場もあったが未だスラスターを追い越すには至っていない。
30年の時を超え、
いまだスラスターデザインはサーフボードの王道として君臨する。
ロングボード、ツインフィン、レトロボード、マルチフィン、
それらすべて、
流行の兆しこそみせるものの主導権を奪うまでには至らない。
エンドユーザーからすると、
このあたりの革新的なボードデザインの変化が見られないところから
購買意欲を失ってしまうのか?
マイナーチェンジはあるものの
「10年、20年前のボードとそんなに変わらんし、まだまだこれでも十分か?」
と思っているのか?
業界の沈滞振りはそんなところにも見え隠れしているのか?
ちょいと気になるところでは有る。

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サーフィン自体、
現代のサーファー達にとってファーストプライオリティを持つものか、どうか?
やや疑わしいところも見える。
余暇で娯楽、
熱狂する感覚とは異質な、
クールな遊戯、微熱・・・・

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life styleを構築するでなく、
コンペサーフィンに熱中するでもなく、
波を求めて旅するでもなく、
週末、
洒落た車にファットなボードでクルーズがトレンド・・・
現代において唯一、
熱中が見られるとすれば、
少数の親子関係に、それを見つけることができる。
「息子(娘)をなにがなんでも有名なサーファーに育て上げたい」
そこにはかなり上昇した熱がみられる。
少数の子供達が元気よくサーフィンに励んで、
その光景は喜ばしいけれど、
「最初に楽しさありき」が失われてしまっている感は否めない。
親子で波を追う、
親子で朝焼けに、あるいは夕暮れに包まれる。
親子で旅をし貴重な時間を共有する。
親子関係だけに関わらず、
サーフィンの基盤はそういうところにあるはずだと思うのだが、
そこはまったくないがしろにされ、
上手くなれ!
試合に勝て!
なるべく大きなスポンサーをGETしろ!
目指すは世界だ!
そういう感覚に支配された子供達がほとんど。
少年野球全てイチローを松井を目指しているのか?
サッカー少年全てが本田を長友を目指しているのか?
願望はあっても
まず最初にプレイの楽しさありき、ではないか?
親とて、
そこまでたどり着く道程の長さも知っているのではないか?
困難で長い道のり、
はるか長い道のりを経た先にあるのが世界の頂。
才能と努力と僅かなラックを掴んだものだけがたどり着く世界。
純粋にサーフィンを楽しむ子供達が増えて、
その中のほんの数人が目指せるかどうかの場所へ、
テイクオフができた瞬間から
「目指せ世界のプロサーファー!」
が始まってしまうのには違和感を禁じ得ない。
サーフィンから得られる純粋な喜び、
そこを再度認識すべき時ではなかろうか?
「どこまで頑張ったら物品の支給をしてもらえるのですか?」
よくされる質問ではあるけれど、
その前に、
「お子さんに、サーフィンの楽しさをもっと伝えたほうが良いですよ」
と答えることもままある。
「子供を有名なサーファーに育てたい」
サーフィンの楽しさの前に親のエゴが立ちはだかる。
そういうのもトレンド、といえなくもない。
プロサーファーの肩書きを持つ人たちの現状はそんなに甘くはないのだけれど・・・
少子高齢化もあいまって、
サーフィンを楽しむ子供達はどんどん減少傾向・・・

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今回、旅先で数人のサーファーと出会った。
海外も日本と同じくサーファーの高齢化が顕著、
出会うのはおやじばかりだった。
おやじが好む場所に行っているせいかもしれないけれど・・・
一人でキャンプにステイしていたオージーサーファー、
7’2 7’10 8’4と全てピーターマッケィブで揃えたガンを持っていた。
「休みが取れたからね。2週間ステイしてるんだ。
ここは最高だよ。
1日、一本でも良い波に乗れたらご機嫌さ!」
屈託無く笑ってくれた。

キャンプからバリに戻って、
エアポートリーフのカヌーでもオージーサーファーに出会った。
波は4~5ftくらいあったか・・・
折れたボードをカヌーにあげて浮かない顔をしていた。
「聞いてくれるか?
一本目の波でリーシュが切れて延々泳がされて、
ようやくラインナップに戻ったら、
今度は次の波でボードが真っ二つ。
ったく、やってられないぜ!」
「じゃ、今夜はビンタン飲んで全部忘れて!
明日は最高の日になるよ!」
「そうだな!
58歳で会社リタイヤして1ヶ月いるんだよね。
お前、いくつ?」
「あんたのほうがひとつ先輩。
おれはまだリタイヤできないから明日帰んなきゃ・・・」

ほんとに何気ない出会いと会話なのだけど、
おそらくサーフィンのベースはそんなところにあるんじゃないかと、
そんなことを思った次第。
トレンドだ、なんだかんだ言っても、
実はとてつもなくシンプルなことしかないんじゃないかと・・・・
自身、面倒くさがりで無責任だから、
「これからどうなる日本のサーフィン?」
そんな大命題掲げる気なんてさらさらないし、
そういうことに尽力する時間も余裕も無い。
人生、残された時間を考えれば当然の事。
自分の身の回りのやるべきことをやって、
あとは自分のために時間を費やすのみ。
ではあるのだけれど、
これから先、
この国のサーフィンがどこへ向かおうとしているのか?
ちょいと心配では有る。
過去30年にわたり良い時間を過ごさせてもらったこともあるし、
何かできないか?
そんなことも少し思う。
やりたい放題やって
「あとは知らない」じゃぁ、
政治家のおっちゃんとかわらねぇからな・・・
さて、今夜はNSA支部会議、支部予選打ち合わせ。
旅先で最高の波を同じ目的を持った奴らと共有する時間と、
オンショアのヒザコシを12分、ガツガツに奪い合う時間、
あんたならどっちを選ぶ?
おれは両方!
どっちもやらなきゃならんことだから。
でも本質は絶対見失っちゃいけないんだよ!

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「書を捨てよ、町へ出よう!」
それが1960年代のトレンドならば、
「ネットを捨てよ、旅に出よう!」
がこれからのトレンドになったらよいのだけれど・・・・・・

カテゴリー: surf

back home from jungle!

いよいよ還暦も間近にせまってくると、
人生の残り時間と相談しながらの旅になる。
悲しいことだけど仕方ない。
今より若い頃、
得意げに旅のレポートとか事細かく書き綴ったりもした。
生意気にサーフィン専門誌に綴ったこともあった。
でも、
そういうのは徒労であって、
全てのことは一緒に時間を共有した仲間達の、
心とか体のどこかにか刻み込まれれば、それで良し!
ということも悟りつつある。
年を重ねると老獪になるのが人の常・・・・・
年とともに旅の重さも増してきて、
それは私のつたない文章などで表現できることじゃない。
だから、
写真と簡単なキャプションのみ・・・・・・
on the road again soon…….

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7人の友人達・・・・

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旅の守護神でありlifetime friendのmade switra.

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bobby’s camp

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real local

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da left.

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baliに戻って最後の波、
パドル頑張らないと・・・・・・・・・・・・・

写真
さぁ、パッキングして帰ろう・・・

カテゴリー: surf

足袋で旅です・・・・・

ふと歌詞の一説が頭をよぎり
思わず口ずさんでしまうことが、有る。
同じように、
昔懐かしいサーフィン雑誌、
その中の小さな写真につけられたキャプション、
その一説が、
妙に鮮明に蘇ってくることも、ある。
現代は情報や言葉が洪水のように溢れかえっているから、
そういう状況で珠玉の一説を見つけ出すのは困難だし、煩わしい作業に思える。
当時、俺達は情報に飢えていた。
誰かが、このサーフィンというものの素晴らしさを的確に表現してくれないか?、
待ち望んでもいた。
たとえば
当時のサーフィン専門誌編集長だった石井秀明氏のこういう一文・・・

http://www.sc-fan.com/0000_up/005_nami/001_seishin/00_joshou.html

サーフィンを取り巻く環境も、
それを愛好する人も、
そのスタイルも嗜好も思考も全てが変わってしまった。
でも、
絶対変わらないもの、
普遍なものがあるはずで、
そこは見失わないようにしたいな、と、
そんな心持ちでいる。

1982年、日本のエースだった4人のうちのひとりが、エールを送ってくれた。
「オニオコゼ、ふまねぇようにな~!」
先人の教えには素直に従うべきだ。

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カテゴリー: surf